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「震災復興応援イベント 3.11 from KANSAI 2019~わかったつもりを学び直す~」

平成31年3月10日(日)に、梅田スカイビル タワーイースト36階 スカイルーム1・2(大阪府大阪市)にて、「震災復興応援イベント 3.11 from KANSAI 2019~わかったつもりを学び直す~」を開催しました。

主催:
3.11 from KANSAI 実行委員会
開催日時:
平成31年3月10日(日)メイン会場:13:00~17:45/サブ会場:12:00~17:20
開催場所:
梅田スカイビル タワーイースト36階 スカイルーム1・2(大阪府大阪市)
構成団体:
社会福祉法人大阪ボランティア協会、一般財団法人ダイバーシティ研究所、特定非営利活動法人遠野まごころネット、特定非営利活動法人ユースビジョン
参加団体:
[運営協力団体]:
おおさか災害支援ネットワーク(OSN)、認定NPO法人トゥギャザー、株式会社PRリンク
[協賛企業]:
大阪ガス株式会社、近畿労働金庫地域共生推進室、産経新聞社、サントリーホールディングス株式会社、「震災の経験を次世代に」実行委員会、積水ハウス株式会社、大日本住友製薬株式会社、東武トップツアーズ株式会社大阪法人事業部第2営業部
参加人数:
196人(メイン会場ほか:127人、サブ会場:防災ワークショップ:のべ59人、避難者交流会10人)
開催概要:
3.11 from KANSAI実行委員会は、阪神・淡路大震災を経験した関西として「おたがいさま」の気持ちで、「関西でできること」を実行する震災復興応援イベント「3.11 from KANSAI 2019~わかったつもりを学び直す~」を開催しました。8回目となる今年は、岩手県、宮城県、福島県から講師を招き、改めて震災直後の経験をお聞かせいただき、東日本大震災の復旧・復興支援活動を通して、「わかったつもり」だったことを、改めて学び直すためのヒントをいただき、「わかったつもりを学び直す」ことを目的に実施しました。開会後、参加者全員で黙とうを行い、実行委員長の早瀬昇氏より開会挨拶がありました。
 第1部キーノートスピーチ「わかったつもりを学び直す~東北のいま・関西のいま~」では、一般財団法人ダイバーシティ研究所代表理事の田村太郎氏に、パネルディスカッションを前に、論点を整理するためにいくつかの視点を提供していただきました。
昨年は、大阪北部地震や台風21号災害など、関西でも大きな災害があったが、阪神・淡路大震災や東日本大震災での教訓を受けて、災害に対応できる備えは十分ではなかったのではないか、との問題提起がありました。
 大阪北部地震の発災後は、大阪駅周辺に人があふれ、帰宅抑制や車両管理ができていませんでした。電車内やエレベーターの閉じ込めも多発しました。宮城沖地震でブロック塀が倒れたのに、なぜまだブロック塀が残っており、倒壊事故が起こったのかが不明です。台風21号災害では、停電があると断水も起こることへの備えができていたか、避難所で食料を配るときに、アレルギーや宗教上の理由による配慮はなされていたか、マニュアルがあっても守られていなければ意味がないと感じます。地域での助け合いを原則としていますが、被災した地域同士では助け合えない場合もあります。広域での共助が必要なのではないかと思います。
東日本大震災の避難者はいまだに52,000人います。災害復興は、目に見える進捗が感じられない「踊り場」の時期があり、関心が薄れてしまいます。その時期を支えることが大事です。改めて東日本大震災発災直後のお話をお聞きし、その教訓を反映して、今どのような取組をされているのかをお聞きし、何を学び直さなくてはいけないかを考えたい、などの話がありました。
 続いて、岩手県、宮城県、福島県からの講師によるパネルディスカッションを行いました。講師は、社会福祉法人愛泉会 幼保連携型認定こども園かまいしこども園 主幹保育教諭 澤田利子氏(岩手県)、仙台大学教授 子ども運動教育学科長で仙台市立榴岡小学校元校長 久能和夫氏(宮城県)、福島大学 総合教育センター特任准教授でダイバーシティふくしま 共同代表 前川直哉氏(福島県)の3名で、コーディネーターはキーノートスピーチを務めた田村太郎氏でした。3名の講師からは、それぞれ発災直後の様子をお聞かせいただくとともに、それを受けて現在どのような取組をされているのかのお話がありました。
 岩手の澤田氏からは、かまいしこども園では、近所の人にも助けてもらいながら近くの高台へ子どもたちを連れて避難したこと、近くの病院で4日間過ごしたこと、現在は、地下に3日間は過ごせるよう備蓄を置き、保育所の子どもたちだけでなく、近所の人が避難してきても過ごせるようにしていること、緊急連絡先の一斉メール配信の導入、移転先が山の近くなので土砂災害の訓練も取り入れている、などのお話がありました。
宮城の久能氏からは、阪神・淡路大震災で普通教室を避難所に解放してしまったことで授業再開がスムーズにできなかったという教訓を受けて、普通教室は施錠したこと、防災環境が整った立地や構造、避難場所・避難経路、地域との連携など、災害時の対応策は構築されていたはずだが、防災無線や電話・電気の途絶や、駅・会社・集合施設からの大量の避難者(帰宅困難者等)による収容場所や備蓄食料のオーバーフローなど想定外のできごとが起こってしまい、それらを受け、平成30年にようやく、帰宅困難者対応指針に帰宅困難者を指定避難所へ案内・誘導しない、という文言が追加されたことなどのお話がありました。
 福島の前川氏からは、発災から8年が経ったが、震災そのものは今もまだ続いており、原発災害はまさに現在進行形の問題であること、自身が被災地にボランティア活動に行ったことで、勤務先の高校生自らが何かしたいという想いを持ち、被災地の高校生と交流をすることによって知らない場所ではなく友達が住んでいる場所となり、現在も訪問活動が続いていること、福島は継続的な除染と半減期により放射線量は低くなり、関西と変わらないこと、しかし県外避難者の思いは尊重しなければならないこと、県外からの偏見や差別、住民同士の分断などを経験した福島だからこそ、違いを歓迎するということを大切にしてほしいという想いで活動をしていること、などのお話がありました。
3名からのお話を受け、コーディネーターの田村氏から、企業に対しては電車や地域の避難所の混乱を防ぐため、3日間社員を返さなくて良いように備蓄するよう要請しているが、地域で過ごす子どもや高齢者が過ごす保育所や施設には備蓄がない矛盾があることや、学校が避難所になった際に、体育館では収容しきれないことがわかっているのに、それ以外の教室をどのようにするのか決められていないこと、などの問題提起がありました。
 会場からは、子どもを預かる場所で発災したら、どの程度預かると考えておけばよいかとの質問があり、あらゆる場面を想定したマニュアルを整備しており、直接保護者に引き渡すまでは責任をもって預かり、24時間から3日間かかったとの回答がありました。また、性的マイノリティの方や食物アレルギーなど、多様性への配慮は、災害時だけでなく、日常から配慮しておく必要があることなどのお話がありました。
第2部「わかったつもりを学び直す~関西のこれから~」では、導入にテーマにちなんだ7人のインタビュー映像を上映し、少人数のグループにわかれて「大阪・関西で被災して生かせた、生かせなかったこと」について、参加者同士で意見交換を行いました。「観光客・外国人への避難場所の確保」、「震災時こそゆずり合い、助け合いの広報を」、「帰宅困難者をなくすためのBCP(備蓄、災害時の行動計画)整備の条例化」、「障がい者も地域コミュニティに参加してもらう取り組みの必要性」などの意見が出ました。
 閉会挨拶では、実行委員の赤澤清孝氏より、本日の学びを振り返るとともに、来年の再開を誓いました。
当日はサブ会場でも同時並行で複数のプログラムを開催しました。
まず、関西広域避難者支援センターと共催して、関西で暮らす避難者の方を対象に「3.11を想う交流会」を開催しました。集まられた方たちでお茶を飲みながら、近況を分かち合ったり、情報交換を行ったりして、ほっこりとした時間が流れました。
 次に、「子どもといっしょに防災を学び直すワークショップ」を初開催しました。NPO法人気象キャスターネットワークの西口香織氏による「空の教室」では、空のメッセージを聞いて自然災害から身を守ろうという趣旨で、自然現象について分かりやすく解説し、雲の発生実験を行いました。続いて、一般社団法人72時間サバイバル教育協会の片山誠氏による「防災体験ワークショップ」では、前半に非常持ち出し袋について考えるワークショップを、後半に泥水ろ過の体験ワークショップを行いました。ワークショップでは、大人がやり方を教えるのではなく、子どもたちが自分で考えてつくることを重視し、防災を学びながら大変盛り上がりました。

開催概要:
今後の活動の方針・展望:「新しい東北」の創造に向けて、「おたがいさま」の気持ちで、「関西でできること」を実行する震災復興応援イベント「3.11 from KANSAI」を、来年以降も継続して実施していきたいと考えています。
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【本件に関する問合せ先】
3.11 from KANSAI 実行委員会
担当:事務局長 永井 美佳
Tel:06-6809-4901(社会福祉法人大阪ボランティア協会)
Fax:06-6809-4902(社会福祉法人大阪ボランティア協会)
Mail:office@osakavol.org(社会福祉法人大阪ボランティア協会)
URL: http://www.311-kansai.com/