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連携制度

連携セミナー制度

平成30年7月13日(金)から15日(日)にかけて、「第2回『コミュニティ・カーシェアリング』シンポジウム in 石巻」が開催されました。

一般社団法人日本カーシェアリング協会の「第2回『コミュニティ・カーシェアリング』シンポジウム in 石巻」が連携セミナー制度に採択されました。 同イベントは「新しい東北」官民連携推進協議会連携事業として、平成30年7月14日(土)に石巻市防災センター(宮城県石巻市)にて開催されました。

主催:
『コミュニティ・カーシェアリング』シンポジウム実行委員会
共催:
石巻市
後援:
国土交通省東北運輸局, 社会福祉法人石巻市社会福祉協議会, ドイツ大使館, 復興庁, ベルギー大使館, 社会福祉法人宮城県社会福祉協議会
開催概要:
日本カーシェアリング協会は、共助型モビリティのコンセプトの発信と、現状の課題や今後の課題について議論するため、「第2回『コミュニティ・カーシェアリング』シンポジウムin 石巻」を開催しました。石巻市の日本カーシェアリング協会と同様に、ベルギー・ドイツで地域コミュニティの力でモビリティを確保するカーシェアリング(以下、「CS」という)を運営している3つの事業者を石巻市にお迎えし、計3日間のプログラムでシンポジウムを行いました。
・7月13日
石巻市吉野町で活動する住民CSグループの視察・ユーザーとの交流/交通事業者からの事例報告とワークショップ
・7月14日
第2回『コミュニティ・カーシェアリング』シンポジウムin石巻
・7月15日
石巻市不動町で活動する住民CSグループの視察・ユーザーとの交流
以下は14日のシンポジウムの講演内容(一部抜粋)です       
      1.講師の講演内容や質疑応答の内容
講演者:
Jeffrey Matthijs (Autodelen.net Coordinator)
講演名:
私用車のご近所シェアと、革新的かつインクルーシブなカーシェアリングのかたち
ベルギーで行われている特徴的な6つのCSの取組について事例報告をしていただきました。最初に、車を近隣居住者同士でシェアする形態であるCOZYCAR, Dégageについて、次に、インクルーシブなCSとして福祉車両を使ったライドシェアリングサービスや、電気自動車のCSサービス、車のみならず運転のサービスが付帯することにより免許を持っていない方でも容易に外出することができるMesen-Hill CountryでのCSについて解説していただきました。最後に、CSの展開は地方自治体がキーマンであるとし、気を付けるべきポイントを指摘していただきました。
講演者:
Angelo Meuleman (Taxistop Project Manager)
講演名:
タクシーストップによる社会的かつ持続可能なシェアリングモビリティ
タクシーストップの多岐にわたる事業を3つの観点から解説していただきました。①通勤・イベント用の相乗りサービスやCSサービス、地域住民に対象を限定した送迎サービス、②スマートフォンのアプリを活用したMaaS(Mobility as a Service)、SssS(Software as a Service)サービス、③接続性を持たせることにより移動の効果を高めるオフライン・オンライン双方の施策について、それぞれ紹介いただきました。送迎サービスの展開では、地方自治体が利用希望者と送迎希望者のマッチング役を担うなど、地域全体で移動サービスを担っていることが理解できました。また、彼らのCS利用者は公共交通・自転車・徒歩移動の頻度が増加すること、1台のシェアリング車両は15台の私用車の代わりになるポテンシャルがあり、土地確保に貢献できるとの報告がありました。
講演者:
Wilma Östreicher (Carsharing im Landkreis Ebersberg)
講演名:
エバースベルグ地域のカーシェアリング
ドイツの片田舎エバースベルグ地域での住民運営型CSについてビデオ講演を行いました。CSのメリット、利用方法、運営側の体制や運営方法、値段の計算方法を解説していただきました。
講演者:
吉澤 武彦 (一般社団法人日本カーシェアリング協会 代表理事)
講演名:
石巻市の『コミュニティ・カーシェアリング』
石巻市で日本カーシェアリング協会が行ってきた『コミュニティ・カーシェアリング』についてスタート期の活動から特徴、効果、現在の向き合っているテーマについて報告を行いました。
講演者:
柴山 多佳児 (ウィーン工科大学交通研究所 研究員)
講演名:
コミュニティ・カーシェアリングの特徴と位置づけ
世界で行われているCSを類型化し、『コミュニティ・カーシェアリング』の位置づけを整理いただきました。『コミュニティ・カーシェアリング』は世界的にも新しいフレキシブルなCSの仕組みだと言及いただきました。その上でミクロスケールの公共交通として発展するためには、自治体として「クルマがないと生きていけない社会」からの脱却を目指し、公共交通を充実させることが前提条件だとし、その公共交通を補完するという役割を担うことが必要であると結論付けていました。
講演者:
鳩山 紀一郎 (長岡技術科学大学 産学融合トップランナー養成センター 産学融合特任准教授)
講演名:
わが国の地域公共交通の実状と共助型モビリティの課題
地域公共交通について、北海道や新潟の事例を紹介いただきました。その上で、地域公共交通の評価指標を収支率ではかることは適切でないとし、Cost per Person(CPP=乗客一人当たりにかかる費用)を一つの指標として、CPPの改善を目指していくのがよいと提案いただきました。
パネルディスカッション
モデレーター 鈴木高宏氏(東北大学)
登壇者 Jeffrey Matthijs, Angelo Meuleman, 鳩山紀一郎, 柴山多佳児, 吉澤武彦
鈴木氏のモデレーションで、聴講者から事前に集めておいた質問をもとに進められました。「車を持っている人もCSのターゲットになるか」、「CSは健康に対してもポジティブな影響があるか」、「モーダルシフトの理由は」、など軽いものから専門的なものまで多様な議論が交わされました。
2.活動した成果(学んだこと、連携創出)
登壇者からの報告を通じて、CSを取り巻く日本と海外の違いが明らかになりました。Angelo氏は"Mobility is right."(移動は権利なのです)と言いました。欧州ではその権利を守るために地域や交通事業者が得意分野に応じた役割を果たしています。しかし、日本では各事業者が自身の顧客を減らさないことが考えの大前提です。鳩山氏や柴山氏が言及していたように、地域公共交通を利用する総分母を増やすために、対話の場を設け、各々の得意分野で小さな改善を積み重ねていくことが重要なのだと気付かされました。14日のシンポジウムの中では海外の3団体と『コミュニティ・カーシェアリング』のコンセプトを世に発信していくため相互協力を約束する基本合意書への調印を行いました。その上で、ベルギーの団体からは彼らのシステムをお試しで利用させてもらえることになりました。これを契機に当協会で今後準備するべきシステム構築を進めていければと考えています。
3.活動した成果と復興・創生との関係
今回のシンポジウムは、東日本大震災を機に生まれた『コミュニティ・カーシェアリング』の仕組みを全国の方に知っていただける機会になりました。日本全国から参加いただき、「自分の地域でもこの仕組みを取り入れたい」という方もいらっしゃいました。この取組が全国に広まっていくのは一つの復興創生のモデルと言えるのではないでしょうか。また、シンポジウムの参加を通じて石巻に実際に足を運んでいただき、震災後の被災地の現状や、CSに限らず被災地で行われている活動を、多くの人に知ってもらうきっかけにもなったと感じています。
4.活動の結果を踏まえた今後の活動の方針・展望
今後は、この仕組みを活用してもらえるような導入プログラムの作成や導入支援などを進めていきます。また、現在の『コミュニティ・カーシェアリング』に参加しているユーザーの大半は高齢者ですが、海外のCSでは若い世代もコミュニティ運営式のCS活動に参画していることが分かりました。これからは、より多くの世代に参加していただけるようにアプローチしていきます。そして、私たちの取組に可能性を感じていただき、協賛・協力企業や団体の皆さまとは、何らかの形で協働を模索し、新たな価値を生み出す仕掛けを作っていきたいと思います。
 
【本件に関する問合せ先】
一般社団法人日本カーシェアリング協会
担当:石渡 賢大
Tel:0225-22-1453
FAX:0225-24-8601
Mail:info@japan-csa.org
URL:https://www.japan-csa.org/