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連携制度

連携支援制度

第5回全国被災地語り部シンポジウムin東北

令和2年2月24日(月) ~ 25日(火)に、南三陸ホテル観洋(宮城県南三陸町)にて、「第5回全国被災地語り部シンポジウムin東北」を開催しました。

主催:
南三陸ホテル観洋
開催日時:
令和2年2月24日(月)~ 25日(火)
開催場所:
南三陸ホテル観洋(宮城県南三陸町)
参加人数:
420人
開催概要:


■取組の背景・目的

東日本大震災発災から間もなく9年が経過する今、各地で災害が発生し、未災地が被災地へ変わる度にその場で生まれた大事な教訓は語り継いでいかなければならない中、そのことが被災地・未災地を繋ぎ合わせ、地域それぞれの防災・減災への取り組みだけでなく、多くの学びや地域活性化、交流人口拡大が図られていくことも実感します。同時に語り部活動においても多様化や継続化への課題にも取り組み、考えなければいけない今になりました。日本だけでなく語り部をKataribeとして世界中へ広げていく目標を共有することで、一人一人誰もが語り部として学び合い、繋がることがシンポジウム開催の目的にもなっています。

■セミナー内容

<第1部>

第1部は「東日本大震災を学び・感じる始まりの時間」と題し、気仙沼・南三陸と2つの視察ツアーを編成。
初めて気仙沼出発のコースを実施し、リピーターの方にもまた新たな学びと視点が生まれました。もう1つのコースである南三陸を回る「震災を風化させないための語り部バス」も同様に、民間震災遺構の高野会館内部を見学しながら、震災を伝え続ける本質や意味を参加者一人一人が感じておりました。


<第2部>

第2部は開会式の阿部隆二郎実行委員長の挨拶、来賓挨拶に続き、基調講演は震災発災時に国土交通省東北地方整備局長として陣頭指揮に当たった現政策研究大学院大学の徳山日出男氏が、「教訓が、いのちを救う」というテーマで語り部の使命についてや、各地の震災遺構を1つの線として繋ぐ「3.11伝承ロード」の整備目的と役割を紹介し、「伝」と「承」の関係性から学びの対流が生まれる重要性をお話しいただきました。

<発表>

また、未来への伝承に繋げていくために地元の小学生2人も登壇し、奥田梨智さんは詞の朗読、佐藤光莉さんは「マイチャレンジ」というテーマで発表しました。


パネルディスカッションでは『語り部の未来』というテーマで、語り部の現在地だけでなく、今まで・今・これからの語り部を各パネラーの異なる視点を意見交換することで多様で持続可能な語り部活動へさらに交流を図っていくことを確認しあえました。

★コーディネーター 後藤 一磨氏((一社)復興みなさん会代表)

★パネリスト 米山 正幸氏(北淡震災記念公園総支配人)、岩崎 昭子氏 (宝来館女将)、小野寺憲一(気仙沼市震災復興企画部長)、尹 美亜氏(クリエイター・映画「一陽来復」監督)

★コメンテーター・結城 登美雄氏(民俗研究家)


米山氏からは阪神淡路大震災の経験者は東日本大震災をどのように感じたか、災害から20年以上経過する未来とはという視点のお話し、岩崎氏・小野寺氏からは釜石、気仙沼でそれぞれ取り組んできた震災伝承でけなく地域をどう守り、活性化していくかというお話し、尹氏からは岩手、宮城、福島のそれぞれの歩みを映画で捉え、それが世界各地で上映することによる意義や重要性のお話し、などが参加者それぞれの共有になるだけでなく、それをどう活かし伝え続けていくかを考えると、今まで培ってきた縦(時間軸・歴史・文化)と横(交流軸・連携・学びあい)のネットワークの構築、形成はさらに相互努力によって継続していくことを今回も感じることができました。
今後の課題解決や、問題解決に向き合っていくからこそ、語り部の役割と責任をもう一度整理、共有し、東日本大震災10年経過後の未来に向かうことを感じたパネルディスカッションになりました。


<第3部>

第3部は4分科会に分かれてそれぞれのテーマで議論が深められました。各テーマ各分科会と座談会の講師は以下の方々となります。
【分科会①】 テーマ 『KATARIBEを世界へ』 ★コーディネーター 白井 純 氏(東芝国際交流財団理事)
★パネリスト 神谷 未生氏((一社)おらが大槌夢広場代表理事)、ゲルスタ ユリア氏(東北大学災害科学国際研究所助教)、山内 松吾氏(南三陸ジュニア・アカデミー代表)、アンジェラ・オルティス 氏(Place to Grow代表)
【分科会②】 テーマ 『語り部として生きること、前へ進むこと』 ★コーディネーター 釘子 明氏(陸前高田被災地語り部くぎこ屋代表)
★ゲストスピーカー 伊藤 聡  氏(三陸ひとつなぎ自然学校代表) 加藤 英一 氏(ツーリズムリアス代表)
【分科会③】 テーマ 『未来への伝承~震災遺構と私たちの向き合い方~』 ★コーディネーター 佐藤 敏郎氏(小さな命の意味を考える会代表) ★サポート 洞口留伊さん(釜石高等学校)・雁部那由多さん(東北学院大学)
★ゲスト 多賀城高校・気仙沼向洋高校・階上中学校・宮城大学・バレッドキッズ志津川教室の学生・生徒・児童の皆さん
【分科会④】 テーマ 『記憶を伝えていくための記録・手段とは』 ★コーディネーター 山内 明美氏(宮城教育大学)
パネリスト 格井 直光氏((一社)ふらむ名取代表理事)、山内 宏泰氏(気仙沼リアス・アーク美術館副館長)、小山 一彦 氏(㈱ビジュアルコミュニケーションズ代表取締役社長)、金 千秋氏(FMわいわい代表理事)★コメンテーター 宮本 肇氏(前北淡震災記念公園総支配人)

各分科会でそれぞれのテーマで震災の経験を学びあい、伝えるだけでなく、歴史や文化を学ぶ重要性、過去・現在・未来との向き合い方、これからの夢・希望・目標の発信と共有、反省と課題を辛さ・悲しさだけでなくどう正の財産にしていくかを、世代や人種、立場を超えて理解できる場を作れたことは非常に有意義なものとなりました。
グローバル化や持続可能な社会を作ることを目標とする中で、世界共通語として「KATARIBE」という言葉が認識されるようになれば、災害だけなく様々なことを互いに学ぶための交流が生まれることも期待されます。


<第4部>

翌日25日は第4部で語り部の事例発表という形で、佐藤 誠悦氏(震災語り部)より「語り部を世界へ」と題し、活動を継続してきた中でアメリカの大学や企業との繋がりが生まれたことや、工藤 真弓氏(上山八幡神社禰宜)からは「南三陸椿物語」という題で、紙芝居で子供たちに震災を伝えることや、椿を使って世代や地域を繋げていく活動の紹介が参加者の心に深く残りました。


<第5部>

第5部で各分科会のまとめの発表と、山地 久美子氏(大阪府立大学客員研究員・神戸大学地域連携推進室学術研究員)から全体の総括をお話しいただき、国内外の幅広い第6回のシンポジウム開催に向けて第5回のシンポジウムの宣言を発表し、交流の場を今後も継続していくことを確認し合いました。


<今後に向けて>

時間の経過とともにあらゆる災害や様々なことの風化が進んでいく中で、語り部の存在意義や伝える力が問われ続けています。10年後だけでなく100年、1000年後にも伝えたい思いは、先例を学び未来に生かすことの大切さを知り、被災地同士の連携も広げていくためにも、語り部シンポジウムは今後も継続されていくことが参加者の共通の声として非常に多く聞かれました。来年は第6回全国被災地語り部シンポジウムが神戸で開催されますが、第3回東北被災地語り部フォーラムを再びこの南三陸で開催することにより、語り部活動を普遍的、持続可能な取組として広げていきたいと思います。


【本件に関する問合せ先】
法人名:南三陸ホテル観洋
担当:事務局長 伊藤 俊
Tel:0226-46-2442
Fax:0226-46-6200
Mail:s_ito@kanyo.co.jp
URL:http://www.mkanyo.jp/