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震災復興応援イベント「3.11 from KANSAI 2021~震災から10年、つながる、続ける、こだわる~」

 令和3年3月7日(日)に、梅田スカイビル タワーイースト36Fスカイルーム1(大阪府大阪市北区)およびオンライン会場にて、震災復興応援イベント「3.11 from KANSAI 2021~震災から10年、つながる、続ける、こだわる~」を開催しました。

主催:
3.11 from KANSAI 実行委員会
開催日時:
令和3年3月7日(日)14:00~17:40
開催場所:
梅田スカイビル タワーイースト36Fスカイルーム1(大阪府大阪市北区)およびオンライン会場
参加人数:
オンタイム参加者101人、後日閲覧者243人
事業内容:

■事業の背景・目的

 東北3県の復興状況について、東北から全国へ情報発信努力は続けているものの、世間の関心の薄まりのスピードが早く、風化が進んでいることは否めません。とりわけ、物理的距離のある大阪・関西での関心の薄れ・風化は著しいものがあります。
 「風化」「東北の復興状況が伝わらない」という東北が抱えるいまの課題を解決するためには、東北の復興の課題や実践から得られる知見を生の声とともに、大阪・関西で伝える機会が必要です。
 10年の節目となる今回は、関西から東北へ支援をつづける取り組みを軸にこれまでの取り組みをふりかえるとともに、東北からも現在の復興の様子を伝える機会としました。また東北からのゲストはオンラインでの登壇、参加も会場とオンラインのハイブリットで開催する形式となりましたが、このようなオンラインでのコミュニケーションを通じたコロナ禍における復興支援のありかたについても議論し、これからも関西からできる東北への関わりについて、ともに考えました。
 震災復興応援イベント自体は年1回の開催(2020年はコロナ禍で3月を8月に延期して開催)ですが、イベント終了後から次回のイベントまでの約1年間に、実行委員会構成団体(一般財団法人ダイバーシティ研究所/認定NPO法人トゥギャザー/NPO法人遠野まごころネット/NPO法人ユースビジョン/社会福祉法人大阪ボランティア協会)それぞれが、「新しい東北」の創造のために諸団体と情報交換や交流を行った知見を、「東北のいま」として東北のゲストとともに大阪・関西へ情報発信し、ともに考える機会としました。


■発表内容・質疑応答

(1)キーノートスピーチ「震災から10年、つながる、続ける、こだわる」
震災から10年を迎える東北の現状、コロナ禍における復興の課題や新たなチャレンジについて、現地の声や統計をもとにお話いただきました。
・キーノートスピーチ:一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事/復興庁 復興推進参与 田村 太郎さん

(2)祈り~黙とう
 東日本大震災をはじめ、これまでのさまざまな災害で犠牲となられたみなさんに対して、静かに祈りを捧げました。

(3)ゲストスピーチ「震災から10年、つながる、続ける、こだわる」

❶岩手の報告:NPO法人遠野まごころネット理事、岩手県大槌町議員 臼澤 良一さん、大阪府富田林市長 吉村 善美さん
 臼澤さんからは、大槌町の現状・課題と復興米を作ったきっかけから稲が実るまでの経緯について、吉村さんからは、門外不出の復興米がつないだ岩手県大槌町と富田林市のつながりの経緯と絆の大切さについてお話いただきました。
 臼澤さんは、関西の人にも関係人口・交流人口として大槌町に関わっていただき、第2のふるさととして一緒に新しい歴史をつくっていただけたら、と話していただきました。吉村さんは、嬉しいときも、悲しい時も思いを分かち合いながら、連携活動を一緒に創造していきたい、と交流を通して大切に育んでこられた熱い思いを語っていただきました。

❷宮城の報告:一般社団法人雄勝花物語 代表理事 徳水 利枝さん、龍谷大学ボランティア・NPO活動センター ボランティアコーディネーター 竹田 純子さん
 徳水さんたちは、「雄勝ローズファクトリーガーデン」で、被災者が震災で亡くなった人やなくなったものとつながる慰霊の場として、また被災者が支援者と交流する場として、学校や大学や企業などと連携して活動を続けておられます。被災者と支援者が向き合うのではなく、傷んだ土地をケアするという思いを共有し、「同じ方向を向く」ことができたこと、小さなことからコツコツとりくんできたことが続けられている秘訣だとお話しくださいました。大きくではなく、小さなことから取り組むことで、成功と達成感が生まれ、被災者の心のケアにもつながっているという言葉が印象的でした。今後は、大きな災害を経験したご自身の体験と教訓、そして復興の道のりをみなさんに伝えることで恩返しがしたいという思いを語られました。
 竹田さんからは、学生たちと一緒に雄勝に通い、現地のみなさんと一緒に積み重ねて来た活動についてお話しくださいました。「京都の風を持ってきてください」という地元のオファーを受け、京都のお菓子などを持って行って地元の方と交流をしたところ、雄勝のファンになる学生が急増し、学内でも雄勝での活動のことを自発的に語り、自分たちで多彩な企画を生み出していった様子が、発表スライドからも伝わってきました。コロナ禍においては、現地での活動はできなかったけれど、学生主体でこれまでの活動を振り返る動画を作成したり、オンラインで被災地の方と交流をしたりといった取り組みをしているとのことでした。

❸福島の報告:福島県南相馬市 経済部長 横田 美明さん、NPO法人新公益連盟 代表理事、公益社団法人ハタチ基金 代表理事 白井 智子さん
 横田さんからは原発事故に伴い、当時の子どもたちの困難やその周辺環境で起きていたこと、その課題を支援者とどのように改善していったのかについて、白井さんからは、震災後に初めて訪れた南相馬市に、大阪から10年間通い、地元のみなさんと子どもの居場所をつくってきたことについて、わかりやすく伝えていただきました。
 横田さんからは、地域の中での様々な分断が大きな課題であること、震災後の5月から学童保育を再開して7月から発達障がい児の個別支援・学習支援・生活支援を白井さんの協力を得て開始した経緯、弱い立場の学童支援員を支援し大切に育成する必要性を痛感したということについて、白井さんからは、きちんと行政がニーズを把握していたことや企業の資金的な支援、信じてくれる・温かく迎えてくれる地元の人の存在が相まって、NPOの専門性を伝えることで、10年間、活動を継続していくことができたことを熱く語っていただきました。
 最後に、福島イノベーション・コースト構想( https://www.fipo.or.jp/ )について横田さんからご紹介があり、白井さんからも、オンライン化で東北と関西の距離が縮まった現在、起業を検討している関西の人は南相馬での検討もありでは?と、ご自身の経験も踏まえたお誘いがありました。

(4)パネルディスカッション「震災から10年、つながる、続ける、こだわる」
 田村さんがコーディネートをして、ゲストスピーカー6人がディスカッションを行いました。
 まず、臼澤さんは、東北でも地域によっては震災のことが風化していることに危機感を持っていて、今後も体験を語り継いでいきたいという思いを語ってくださいました。
 吉村さんは、連携協定をもとに子どもたち同士の交流をしていきたいこと、富田林市はなすびとキュウリの産地なので、お互いの産品の交流もできればと考えているという具体的なアイデアをご披露いただきました。
 徳水さんは、今後、ひとりでも多くのみなさんに、命を守るためにどんな行動をとるとよいかという教訓、災害が起きる前に住めなくなった家をどうするかを、平常時の穏やかなときに話し合っておく必要があるということなどを伝えていきたいと話してくださいました。関西のみなさんからも、そういったことを「聴きたい」と言われたときにすぐに動けるように準備していきたいとのことです。
 竹田さんは、雄勝で教わったことを今後も学生に伝え続けることが大事だと考えているという思いを語られました。知恵をもらいに行くこと、具体的な事例を聞けることに学生たちはすごく関心を持っていることを実感しておられるそうです。
 横田さんは、原発事故後の除染のお仕事に携わる中で、子どもたちがわがまちに帰ってこられるように除染を進めていこうという「地域コミュニティの力」を実感されているというお話がありました。ぜひ全国のみなさんもご自身の地域コミュニティをしっかりつくってほしいなと思うというメッセージをくださいました。
 白井さんは、「関係人口になる」ことを今後も続けていきたいという思いを語ってくださいました。
 田村さんからは、この10年で遠かった東北と関西が、新しい関係を築いてこられたのではないかということ、そしてこれからもその関係づくりは続いていくといいなというお話がありました。

 ―会場より質問
 コロナ禍でも関西から東北に行きたいという気持ちは強いが、現地としてはどんなふうに受け止めておられるかを聴いてみたい。
 ―登壇者より回答
 人によっていろいろな考え方があるので一概には言えないが、会えないときにもオンラインでの交流なども身近なものとしていけたらいいですね。質疑を通して、状況や受け入れる場所によって判断していく必要があるということも確認しました。

 最後は、これからも現場でお互いのできることや地の利を活かして一緒にできることを考えられるパートナーでいようということ、若い世代にも被災地のまちづくりにも関わってもらえることで、被災地の経験が全国のまちづくりに活きるような取り組みを進めていきたいということを確認し、セッションを締めくくりました。

今回の事業の成果:

東日本大震災の被災地や全国で避難生活を送る方々に思いを寄せ、シンポジウムや写真展などのイベントを通して「おたがいさまの気持ちで、関西でできることの実行」を目的として、東日本大震災の翌年から毎年、3月11日(または直近の日曜日)に大阪で開催してきました。10回目の開催となる今回も、東北の経験値を大阪・関西でも共有し、考える機会となりました。
 関西と東北がこんな形でつながっていること、小さな成功体験を積み重ねていく大切さ、当事者意識を持つこと、地域に危機が起こったときのコミュニティの重要性、学生の内側からやりたい熱い気持ちが引き出されていく面白さなど、「震災から10年、つながる、続ける、こだわる」ことの大切さを登壇者・参加者とともに考えることができました。

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今後の活動の方針・展望:

今後も、東日本大震災の被災地や全国で避難生活を送る方々に思いを寄せ、震災復興応援イベントを通して、「関西から何ができるのか」を登壇者・参加者とともに考えていきます。次回は、2022年3月に開催予定です。関心のある方はぜひご連絡ください。

【本件に関する問合せ先】
社会福祉法人大阪ボランティア協会
担当:永井 美佳
Tel:06-6809-4901
Fax:06-6809-4902
Mail:office@osakavol.org
公式ホームページURL: http://www.311-kansai.com/
公式Facebook URL: https://www.facebook.com/311kansai/