高校生・大学生が共に学び、震災当時に学生だった方々を取材。その証言をデジタルアーカイブとして記録し、Googleマップ上で動画を閲覧できる新しい伝承の形を構築する予定です。
2025年10月5日(日)、多賀城高等学校の生徒が作成した「津波伝承まち歩き」コースの体験を皮切りに、学生たちは県内沿岸部の3コースに分かれて取材を実施しました。
被災地の現場に立ち、地域の方々の言葉を直接聞くことで、震災を「過去の出来事」ではなく「震災の記憶と教訓を伝承すべきもの」として捉える契機となりました。
3コースの概要
南三陸コース
訪問先:SEASON(阿部氏)/ 一般社団法人南三陸研修センター(佐藤氏)
南三陸町では、「復興のその先」を見据え、海藻ブランド開発や地域研修拠点づくりに取り組む人々に取材を行いました。
参加学生は「復興とは建物を直すことだけではなく、人と人とのつながりを再生することだと感じた」と語りました。
地域の人々の温かさ、挑戦する姿勢に触れ、被災地を“学びの場”として再認識する機会となりました。
石巻・女川コース
訪問先:特定非営利活動法人アスヘノキボウ(丹野氏)/ 公益社団法人3.11メモリアルネットワーク(阿部氏)
学生たちは、復興を「明るさ」と「挑戦」で語る地域の担い手たちに取材を行いました。
「震災=怖い」という印象が変わり、「前を向く人々のエネルギーが地域を動かしている」と多くの学生が感じました。
「社会課題に義務感で向き合うのではなく、自分にとっての価値を見出すことが大切」という気づきがあり、学生も学びを得ました。
仙台・山元コース
訪問先:東北大学 災害科学国際研究所(新家氏) / 山元町震災遺構中浜小学校 語り部(遠藤氏)
仙台市と山元町では、震災の記録と教訓を未来に活かす取組を学びました。
中浜小学校では、被災校舎を前に「震災を忘れないこと」「伝える責任」を実感しました。学生たちは「防災を自分事として考えるきっかけになった」と振り返りました。
成果として、3コース計6地点での取材映像をもとに、Googleマップ上にピン止めを行い、取材対象者・参加者の証言を可視化し、教育・観光・防災の各分野で活用可能なデジタル資源として整備する予定です。
高校生と大学生が協働して震災を“記録する主体”となることで、次世代への関心と行動が生まれ、世代間の意識のリレーを行うことができました。
取材成果のうち各県選出作品は、12月に開催される「東北3県・石川県合同セミナー」(石川県地場産業振興センター)で上映予定。
まとめ
震災を“語り継ぐ”だけでなく、“共に語り合う”こと、学生たちが現地で得た体験は、復興の新たな形を映し出しています。宮城から生まれたこの実践が、未来の防災教育と地域共創の礎となることを期待したいです。