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連携制度

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東北復興支援シンポジウム~桜が紡ぐ東北の未来~

平成31年2月23日(土)に、東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区)にて、「東北復興支援シンポジウム ~桜が紡ぐ東北の未来~」を開催しました。

主催:
東北・夢の桜街道推進協議会
開催日時:
平成31年2月23日(土)13:00~16:30
開催場所:
東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区)
参加人数:
110人
開催概要:

東日本大震災発生に伴う東北復興支援のために組織された官民広域連携・協働推進の「東北・夢の桜街道推進協議会」では、『東北・夢の桜街道~復興への祈りを捧げる 桜の札所・八十八ヵ所巡り』という交流人口増加策(観光振興)を基本とする東北復興支援プロジェクトを推進してきました。

"記憶の風化"が叫ばれる中、震災復興の原点に立ち返るとともに、協議会メンバーによる各種支援事例等のご紹介を踏まえつつ、今後、東北・夢の桜街道推進協議会が進むべき道を、多士済々のパネリストの皆様にご議論をいただき、節目の10年に向けて「東北・夢の桜街道運動」の総仕上げを探っていきたいと考え、シンポジウムを開催しました。


第1部:映画『津波そして桜』(ルーシー・ウォーカー監督作品)上映

第1部のルーシー・ウォーカー監督作品『津波そして桜』(日本未配給)は、東日本大震災発生直後に来日された監督が、津波の悲惨さ・怖さを記録する一方で、被災された現地の方々が春を迎える中、折れた枝の桜や海水に浸かった桜がそれでも健気に花を咲かせる姿に自身の姿を重ね、桜の持つ不思議な力に癒されつつ、未来への希望を託して立ち直っていく姿をドキュメントした感動的な作品です。また、"桜"が日本人にとっていかに大切な文化であるかを気付かせた映画でもあります。東北・夢の桜街道推進協議会が"日本で最も愛されている美しい桜"を東北復興のシンボルに掲げ、復興支援運動を展開する精神的背景にもなっています。


第2部:東北復興支援活動の事例紹介

第2部の東北復興支援活動の事例紹介では、まず桜の札所六十八番・おしら様の枝垂れ桜(秋田県湯沢市)を守る横堀地域づくり協議会会長の戸部尚武氏が、10年前に切り倒される寸前にあった枝垂れ桜が、今や全国区の名木になった事例を紹介されました。

次に、富士通株式会社 戦略企画統括部シニアマネージャー 櫻本直子氏が、東北・夢の桜街道推進協議のICT戦略(ガイドシステム、アプリ、SNS等)を紹介されました。

その次に、東北酒蔵街道の推進を担ってきた株式会社ジェイアール東日本企画仙台支店 前営業第三部長 千葉充氏が、東北酒蔵街道の設定経緯や海外での活動等を紹介されました。

最後に、事務局より現在制作中のインバウンド拡大を図る多言語版「桜街道」ホームページと、そこに組み込まれるドローン映像によるシンボル動画(協議会メンバーが制作協力)を紹介しました。


第3部:パネルディスカッション(コーディネーター:東北・夢の桜街道推進協議会 会長 細野助博氏)

・岡本 全勝 氏(内閣官房参与,元復興庁事務次官)

・井筒 圭亮 氏(信金中央金庫常務理事)

・久保田 穣 氏(日本観光振興協会副理事長)

・グリザティ バヤハメティ 氏(日中科学技術文化センター常務理事)

・佐藤 洋詩恵 氏(日本の宿古窯女将)

・森谷 克彦 氏(林野庁森林整備部研究指導課長)

第3部のパネルディスカッションについては、細野氏が東北・夢の桜街道推進協議会の交流人口増加を目指す各種施策(桜街道事業の多様化、インバウンド事業の導入、「四季感動の東北往還道」設定)の意義を明らかにする一方、普段はマスコミに取り上げられることが少ない信用金庫業界の取組(全国260信用金庫からの支援物資送付、被災地企業の売上の側面支援、義捐金等)について、信金中央金庫の井筒氏から報告されました。

また、山形県の「日本の宿 古窯」の女将の佐藤氏からは、風評被害による旅行者の激減を受けつつも、土地の魅力を伝える"おもてなし"の努力を続けようと東北地域の女将たちへ呼びかけ、団結したことが紹介されました。

内閣官房参与の岡本氏からは、阪神淡路大震災と異なる点として、今回の復興には、インフラの再建だけではなく、商業やコミュニティの再建が同時に必要であったことを挙げられ、民間による支援の重要性を説明されました。

日本観光振興協会の久保田氏は、インバウンドの急増と観光客による経済的波及効果について各種データを用いて説明し、東北での観光客の増加率は他の地域より低い一方、インバウンドは来日リピーターが多い傾向にあることから、東北の魅力をうまく伝えれば、観光客の増加が見込める伸びしろがあると指摘されました。

次に、中国の学生のインターンシップ事業を行う日中科学技術文化センターのグリザティ氏は、東北で実習を行った学生たちの満足度が他の地域の学生より高いことから、東北の魅力はインバウンドにも伝わると説明されました。

最後に、林野庁の森谷氏からは、桜は環境によって短命になることや、外来種の害虫による深刻な被害があることが報告され、人間の手入れが必要な植物であることが説明されました。また、東北を含め様々な場所で植林されることにより交雑が行われ、純血種がなくなってしまう危険もあることが紹介され、生態系のバランスに留意しつつ桜を愛でてほしいと訴えました。

第2部で桜の札所六十八番・おしら様の枝垂れ桜での取組みを紹介する横堀地域づくり協議会会長の戸部尚武氏

パネルディスカッションでは、各パネリストからそれぞれ専門的な知見が披露され、細野会長が集約

なお、パネルディスカッション終了後、交流会(意見交換会)も催され、約30人が参加し、特にインバウンド増加のための仕掛けについて議論が行われました。

活動した成果:
アンケートでは、映画に深く感動すると共に「8年が経過しようとする中で記憶が薄れていることを反省した」、「次世代に継承していくことの重要性に改めて気付いた」とするなどの感想が寄せられました。また、「震災の記憶の風化」を防ぐためには、シンポジウムの継続やPRの必要性を指摘されました。なお、東北・夢の桜街道推進協議会による観光振興の仕組み作りの巧みさや、官民広域連携の重要性が理解できたとの感想が寄せられました。
復興・創生との関係:

東北・夢の桜街道推進協議会では、交流人口の増加が観光振興につながるとの観点から、当初の桜街道(春)だけでなく、酒蔵街道(秋)、祭り街道(夏)、雪見街道(冬)を設定することにより、復興支援の通年化やリピーターの増加に努めました。
今後の活動の方針・展望:

東北・夢の桜街道推進協議会では、平成23年10月に10年間の支援活動を宣言しており、残り約2年半の活動となるため、現在、インバウンドの拡大をどのように進めていくべきか、今回のシンポジウムも含めて議論しており、当面は桜街道のホームページの多言語(英語・中国語・タイ語)化を計画しているほか、桜の札所の多言語化看板の設置など、受け入れ環境整備に努めたいと考えています。

【本件に関する問合せ先】
東北・夢の桜街道推進協議会
担当:事務局長 宮坂 不二生
Tel:045-319-4358
URL:http://www.tohoku-sakurakaido.jp