平成31年2月8日(金)に、衆議院第一議員会館(東京都千代田区)にて、「アジア・国際⼈材交流シンポジウム」を開催しました。
「東日本大震災の被災地における就労人口の不足や少子高齢化の地域課題の解決、改善提案」をテーマにシンポジウムを開催しました。企業の超過収益を高める「ブランドマーケティング」の経営手法について、八戸学院大学特任准教授 藤代典子氏から講演いただきました。次に農業、健康産業、介護などの各分野で実践活動している企業家から講演いただきました。
【基調講演】
「農村地域における地域ブランドの挑戦」
講師:藤代典子氏(八戸学院大学特任准教授)
産業社会の共通課題である、高齢化、後継者不在、黒字廃業がますます地方経済の疲弊、若者の流出、人口減少が続く中、各企業のブランド構築と発信は、大都会の消費地と結びつける「かすがい」です。ブランドを構築することで、単なる生産を行う企業から、企業価値を高かめることができ、「持続的」な生産体制を構築していけるようになります。
【事例発表】
「ベトナム・フエ農林大学からの現役大学生の研修生受入れ事例」
講師:小川浩史氏(青森ジャパンファーム株式会社)
日本一の生産量を誇るりんご、にんにくの生産現場において、高齢化や後継者不在という地域社会における深刻な課題があります。この課題に対応するため、大学と協定を締結し、外国人インターンシップ(現役大学生)を受入れてきた取組を紹介しました。農業が「成長産業」となるには、外国人就労者を受入れることになど、人材の確保がカギとなるということを訴求しました。
【事例発表】
「『トラベルヘルパーセンター八戸』の実践現場からの高齢者×農業×福祉、事例」
講師:池田右文氏(株式会社池田介護研究所)農福連携、六次化に取り組み農村地域にあっての高齢社会の活性化
青森県内における介護事業において、農業と福祉の連携、農業の六次化、高齢社会の活性化、収入源の確保に向けての取組事例をご紹介いただきました。高齢者による農業、漬物など生産活動を試みており、首都圏のマルシェとの提携による販路開拓の事例を紹介されました。
【事例発表】
「東北被災者の受入れから、子供図書館開設、地域密着型の市民活動例」
講師:小野寺浩氏(南三陸ホテル観洋 支配人)
発災からこれまでの災害対応として、発災後率先して被災民の受入れを行ったりしたことや、地域貢献として語り部バスの運行などを実施していることをご紹介いただきました。また、外来の人脈や情報、技術を積極的に取り込んでいる活動についてご紹介いただきました。その活動の一つとして、海外との交流では仙台友好都市である台湾からの留学生をホテルに招待し、将来への見込み客として海外へのアピールに生かしている点などご紹介いただきました。
【事例発表】
「気仙沼産の素材で健康食品。東北から海外展開の発信例」
講師:糟谷耕一氏(株式会社スリーピース 代表取締役社長)
海洋資源に注目し、海藻類から健康食品事業を起こしました。店舗展開に頼ることなくインターネットを使ったビジネススタイルで爆発的に販路を広げています。次の拡販先としては海外を視野にいれています。事業スピードやグローバリズムを意識し、健康・医療の先端分野をしっかり研究しています。「時代のトレンドを捉え、リスクが少なく効果の大きな事業モデル(インターネットを使ったビジネススタイル)は、これからの街づくりや事業再生をはかる多くの被災地の事業者にとっても学ぶべきところが大きいと言える」ということをお話しいただきました。
【事例発表】
「動画サイト『多文化市民メディア(DiVEtv)』」創業活動から、地方における移住外国人の支援活動例
講師:牧野佳奈子氏(一般社団法人DiVE TV代表)
近畿地方を中心に、実習生や企業の間に立って、海外からの受入に伴う様々なハードルを調整、解決する活動を行っています。この活動を全国に展開する試みや、自身が長らく経験してきたメディア、インターネットを有効に活用するメディア戦略を紹介いただきました。
【交流会】
交流会ではブラジル移民の定着化に尽力するABCジャパンの理事 橋本氏やベトナムからの実習生で帰国後は日本とベトナムの交流組織の結成に尽力しているキム氏を紹介しました。また、ノンバーバルなコミュニケーションであるラフターヨガ(被災地でもコミュティの活性化ツールとして先導的に紹介した)で会場に交流、触れ合いがいきわたりました。
少子高齢化、過疎化の波を受けながら未曽有の激甚災害を経験した被災地で、力強く、したたかに立ち上がる企業の実践・成功例の話は、首都圏の事業者、支援者にとって大きなインパクトがあったに違いありません。来場者には経営者や人材関係、行政書士が多く、ビジネスの視点からも相互に交流することに利点があり、このシンポジウムをきっかけに新たな事業展開が生まれるきっかけを提供できました。
実際、来場者のアンケートでは「非常に有意義だった」、「おもしろかった」という感想がたくさん寄せられ、嬉しいことに今後の定期的開催を希望する声もひとつ、ふたつだけではありませんでした。
もう一つは、今回の事業で交流した多様な活動、団体とコラボすることで東北地方という枠を超えて新たな展開を実践してより社会に大きく貢献していきたい。