特集記事

みちのくみっけ Vol.5 南相馬編 2日目

(掲載日:平成29年03月10日 )

(1日目はこちら)

<2日目>

星さんと一緒に近くの牧場を見学。「相馬野馬追」の馬と触れ合う

馬
1日目に何度か「相馬野馬追」という言葉が出てきましたが、「野馬追って何?」と思っている方もいるかもしれませんね。相馬野馬追とは、甲冑に身を固めた騎馬武者が町中を行進する「お行列」、1000mの速さを競う「甲冑競馬」、打ち上げられた花火の中から落ちて来る御神旗を争奪する「神旗争奪戦」、素手で馬を捕らえる「野馬懸」といった神事で構成される祭礼です。

国の重要無形文化財に指定されている野馬追。その勇壮な姿を見に、昨年は20万人の観光客が訪れました国の重要無形文化財に指定されている野馬追。その勇壮な姿を見に、昨年は20万人の観光客が訪れました
野馬追の舞台である南相馬市では馬を飼っている人が多く、乗馬クラブや牧場も点在しています。2日目の朝はちょっぴり早起きをして、星さんに馬のいる牧場まで連れていってもらいました。

牧場主の岡さん。5歳頃から父親に抱っこされて野馬追に参加していたそう牧場主の岡さん。5歳頃から父親に抱っこされて野馬追に参加していたそう
馬術練習場。「育てた馬が馬術大会で入賞するのが一番の喜び」と岡さん馬術練習場。「育てた馬が馬術大会で入賞するのが一番の喜び」と岡さん
岡さん
岡さんは馬術の魅力をもっと多くの人に伝えたいと考えていて、見学や乗馬体験も受け入れているとのこと。星さんが窓口になってくださるそうなので、希望する方は「農家民宿いちばん星」のサイトから問い合わせてくださいね。

牧場からいちばん星へ戻ると、ヘルシーな朝ごはんが用意されていました牧場からいちばん星へ戻ると、ヘルシーな朝ごはんが用意されていました

南相馬は再エネの先進地。「南相馬ソーラー・アグリパーク」で体験学習

おいしい朝食で一息ついたら、いちばん星を後にして大野さんが働く「南相馬ソーラー・アグリパーク」へ。ここは、太陽光発電所と植物工場を舞台とした体験学習施設です。南相馬市小高区出身で2010年まで東京電力の執行役員を務めていた半谷栄寿さんが、2013年に「福島の復興を担う人材を育成しよう」と立ち上げました。企業研修も受け入れ、その対価で子どもたちに体験学習を無料で提供しています。
南相馬ソーラー・アグリパーク
ここでは何が見られるのでしょうか。大野さんに施設内を案内してもらいました。

大野さん
大野さん 太陽光発電所には2016枚のソーラーパネルがあり、500kWの電力を生み出しています。これがどの位の電力量かというと、一般家庭約200軒分をまかなう程度ですね。

飛田 その電力はどんな風に使われているんですか?

大野さん 昼間は100kW分が植物工場に供給されていて、余った電気は電力会社に売電しています。
2016枚のソーラーパネル
飛田 植物工場では何を栽培しているんですか?

大野さん 葉物野菜を水耕栽培しています。成長に合わせて株が自動的に内側から外側に移動していくので、常に充分な間隔が空くことになり間引きをする手間が省けるんですよ。1日に約800個の野菜が収穫されています。塩害や風評被害に多くの農家さんが苦しむ中、農業を再生するひとつの方法にならないかと、実証実験を続けています。
直径約30mの植物工場。2棟設置されています 官民一体で建設された、直径約30mの植物工場。2棟設置されています
飛田 体験できる設備もあるんですよね。

大野さん ふたつあって、まずひとつが「発電研究体験装置」。レバーを回して、太陽光パネルの向きと角度を調節し、最大発電量を見つけるというものです。

飛田 本当だ、ちょっと角度を変えるだけでぐんと発電量が変わりますね。

大野さん そうなんです。太陽の方向を考えて一番いい位置を見つけようと夢中になる方が多いんですよ。
モニターにはリアルタイムの発電量が表示されますモニターにはリアルタイムの発電量が表示されます
大野さん もうひとつが小水力発電体験装置。ダムと同じように、水が高い所から低い所に落ちる力を使って発電する仕組みですね。ここでは4つのレバーを上下に動かして水を汲み上げてもらいます。全部汲み上げるとなると、大人4人がかりでも数分かかるんですよ。

飛田 それでどの位の電力が生まれるんですか?

大野さん 32w。パソコンが一瞬充電できるかな、という程度です。

飛田 えっ、そんなに苦労して一瞬なんですか!?

大野さん 自分の体を動かすと、電気のありがたみがわかりますよね。この体験を忘れずに、普段の暮らしで電気を大事に使ってくれるといいなと思っています。
小水力発電装置
南相馬ソーラー・アグリパークでは一般の方の見学も受け入れています。案内料は1,000円で、このお金は子どもたちに体験学習を提供する資金として使われるとのこと。

植物工場で育てたレタス、太陽光発電のエネルギーで焼いたベーコンを使った「ソーラーサンドイッチ」(1,000円)もおすすめです植物工場で育てたレタス、太陽光発電のエネルギーで焼いたベーコンを使った「ソーラーサンドイッチ」(1,000円)もおすすめです
大野さん 30分でも1時間でも、時間に応じてご案内します。立ち寄るだけなら無料ですし、館内でパソコンをしながら休憩していただいて構いません。旅の途中で時間が空いたときの調整場所としても利用してもらえると嬉しいです。

サーファーの聖地、北泉海岸へ

大野さん これからニコニコドウというカフェに行くんですが、ちょっと時間があるので北泉海岸を覗いていきましょう。北泉海岸は質の高い波が来るため、震災前は「サーフィンの聖地」と呼ばれ全国からサーファーが訪れていた場所なんです。

飛田 有名なサーフポイントだったんですね。知らなかった!

大野さん 南相馬市もローカルサーフを盛り上げようとしていたんですが、そうした最中に震災と原発事故が起こってしまって、しばらくは海に入れない状態が続きました。いまは海岸も整備されて制限が解かれ、2015年には震災後初の大会が、2016年には全国規模の大会も開かれました。今日もサーファーがいるんじゃないかな。
車を停めて堤防を上ると、1月の寒さに負けず波を楽しむ数十人のサーファーの姿が目に飛び込んできました。

サーファーで賑わう冬の北泉海岸サーファーで賑わう冬の北泉海岸
写真を撮らせてくれたサーファーのお兄さん写真を撮らせてくれたサーファーのお兄さん
どうやら、北泉海岸は少しずつ震災前の光景を取り戻しているようです。再び「サーフィンの聖地」と呼ばれる日も遠くないかもしれませんね。

北泉海岸
続いて、北泉海岸から車で10分ほどの場所にある右田浜海岸に立ち寄りました。ここは、「かしまの一本松」がある場所です。一本松と言えば陸前高田の「奇跡の一本松」が有名ですが、この松も津波に負けず一本だけ生き残りました。その姿は、地域住民に大きな勇気を与えてきたといいます。

残念ながら2015年に立ち枯れてしまい、防災林整備のため数年以内に伐採されることに決まっているそう。それでも、「かしまの一本松」は住民が一番辛い時期を励ましてきた存在です。ぜひいまのうちに見に行ってくださいね。
 

納屋を改装した「Café’ Nico-Nico-do’」でランチ

Café’ NicoNico-do’(カフェニコニコドウ)
6号線から横道に入り山のほうへ登っていくと、古い納屋を改装した素朴な外観のお店が現れました。「Café’ NicoNico-do’(カフェニコニコドウ)」です。

使い込まれた味のあるビンテージ家具にハンモックが映える店内使い込まれた味のあるビンテージ家具にハンモックが映える店内
飛田 わぁ〜、店内も素敵! お洒落だけど、古い建物ならではの温かみがありますね。

大野さん 可愛いでしょう? ここはお料理もとっても美味しいんですよ。週末は満席になっていることが多いですね。南相馬にはこういうお洒落なカフェがほかにないから、ありがたい存在です。
ランチプレートはドリンク・デザートがついて1300円。ドレッシングもソースも手づくりしているそうランチプレートはドリンク・デザートがついて1300円。ドレッシングもソースも手づくりしているそう
大野さんの言葉通り、ランチプレートはどの小皿も野菜たっぷりで食感が楽しく、小さな工夫が凝らされていました。オムライスもトロットロです。「カフェ飯は味がイマイチ」と思っている人にぜひ来てほしい! 食べ終わる頃には、その考えが覆っているはず。

店長の高橋由布子さん
店長の高橋由布子さんは、仙台の飲食店で働いた後、2013年に南相馬に戻ってこのお店をオープンしました。2013年といえばまだ震災の混乱が続いていたはず。お店を始めるのには勇気が必要だったのではないでしょうか。
高橋さん 戻って来て「若い人が少ないな」と思ったし、場所もわかりづらいので、周囲からは「大丈夫なの?」と言われました。でも、だからこそやる意味があると思ったし、「始めるからには続けよう」という覚悟もありました。

飛田 お洒落なお店ができて、地元の人に喜ばれたんじゃないですか?

高橋さん オープン当初に、女性のお客様が「南相馬にこんな素敵なお店をつくってくれてありがとう」と言ってくださったんです。まさかそんな言葉をもらえるとは思わなかったから嬉しくて。こちらこそありがとうございます、という気持ちでした。
店内
飛田 ほかにこういうお店がないから、唯一無二の存在になれるんですね。

高橋さん そうですね。震災でいろんなものが失われたけど、無いならつくればいいと思っているんです。私もこうしてカフェを始めて、ありがたいことに口コミでたくさんのお客様が来てくれるようになりました。田舎だからできることってあるので、自分のやりたいことを突き詰めて挑戦していく人が増えるといいなと思います。
高橋さんのお父さまは甲冑師。このテーブルは、甲冑をしまう箱に植物を入れ、上にガラスの天板を載せてつくったそう高橋さんのお父さまは甲冑師。このテーブルは、甲冑をしまう箱に植物を入れ、上にガラスの天板を載せてつくったそう
可愛らしい外見の高橋さんですが、話をしてみると、内に秘めた意志の強さが窺えました。奥まった場所にあると発見してもらいづらいけど、隠れ家のような雰囲気が喜ばれる。「若者がいないとお洒落なカフェは成り立たない」と思ってしまいがちだけど、逆にこういうカフェがあることで若者が町に戻ってきやすくなる。一見短所と思えるものでも、裏返せば長所になるのですね。

タルト生地が硬すぎず柔らかすぎず絶妙!「とちおとめのタルト(500円)」に「紅茶ラテ(500円)」タルト生地が硬すぎず柔らかすぎず絶妙!「とちおとめのタルト(500円)」に「紅茶ラテ(500円)」

サービスエリア「セデッテかしま」でお土産を物色

セデッテかしま
そろそろ旅も終盤。お土産を買いに、常磐道サービスエリア「セデッテかしま」に立ち寄りました。多種多様なお土産が並んでいて、どれを買おうか悩んでしまいます。副店長の小川有哉さんに、人気商品を教えてもらいました。

相馬野馬追の情報を展示したホールにて相馬野馬追の情報を展示したホールにて
小川さん 一番人気は原町区にある亀屋菓子店の「小次郎まんじゅう」です。相馬野馬追の起源は、相馬氏の祖である平将門が領内に馬を放って軍事訓練をしたことにあります。その将門の別名を名前につけた饅頭ですね。
小次郎まんじゅう
小川さん 次に、元祖相馬あられ本舗の「相馬あられ 相馬巻」。焼きたての海苔で巻いたあられが甘じょっぱくて美味しいんです。リピーターが多い商品ですね。
相馬あられ 相馬巻
小川さん そして、地元菓子屋の「松月堂」がつくっている「まいたけおこわ」。人気なので土日は山積みにしているんですが、いつも完売してしまうんですよ。ひとりで数パック購入される方もいますね。
まいたけおこわ
どれもとっても美味しそう! 帰りのバスの中で食べる用に「まいたけおこわ」を、お土産用に饅頭やあられを購入しました。小川さん、ご紹介ありがとうございました!

「香の蔵本店」で12種類の漬物を味見

セデッテかしま
「セデッテかしま」に続いて訪問したのは、昭和15年操業の老舗漬物店「香の蔵本店」。中に入ると店員さんにお茶を渡され、「どうぞ座ってください」と、店内の一角にある休憩スペースを案内されました。ここでは12種類の漬物をゆっくりと味見することができるのです。

並んでいる漬物はどれも美味しくて、ごはんがほしくなってしまう……!並んでいる漬物はどれも美味しくて、ごはんがほしくなってしまう……!
大野さん おすすめは、クリームチーズのみそ漬けシリーズです。北海道産クリームチーズを使ったもの、八丁みそや仙台みそで漬けたものと数種類あるんですよ。

飛田 うう、どれも美味しい……。こうして食べ比べられるのがいいですね。
ついつい2周、3周したくなる美味しさ!ついつい2周、3周したくなる美味しさ!
香の蔵がクリームチーズのみそ漬シリーズを売り出したのは震災後だそう。どんな経緯で始めたのか、マネージャーの岩井哲也さんに伺いました。

急な取材依頼に対応してくれた岩井さん急な取材依頼に対応してくれた岩井さん
岩井さん この店は平成6年にできて、震災前は毎日のように観光バスが入っていたんですが、震災後はパッタリと客足が途絶えました。風評被害もひどく、売上はガタ落ち。送付後に「やっぱりいらない」と返品されたこともありました。でも、同時に「無くなると困る」「応援するからやめないで」と言ってくれたお客様もたくさんいらっしゃったんです。その声があったから続けることができました。

しかし、震災前から漬物業界は苦境にあえいでいました。パンやパスタが好まれるようになり、漬物が入る隙間が無くなったからです。じゃあ、洋食に合う、いまの食卓に合う漬物を提案しようと開発したのが、クリームチーズのみそ漬けやあん肝の味噌漬けです。これが大ヒットしまして、昨年はようやく震災前の売上を超えることができました。今年はもっと上回りそうな勢いです。
クリームチーズのみそ漬け
飛田 すごい! 斜陽の業界で、風評被害に苦しむ地域でV字回復したとは!

岩井さん 実は、震災後しばらくは東京に商品を持っていって、マッチ売りの少女のように「私たち可哀想なんです、どうか買ってください」と販売していたんですよ(笑) 最初の年はそれで多くの方が買ってくださったのですが、一年が経った頃、若い女性2人組が「いつまで震災なんて言ってんのかしら」と通り過ぎていったんです。それがこう、グサッ……と、本当に胸に刺さりまして。

それをきっかけに「新しいことに挑戦しないとだめだ」「可哀想と思ってもらうんじゃなく、こんなに元気な企業もあるんだと感心してもらえるようになろう」と攻めの姿勢に切り替えたんです。あのときは「こっちの状況も知らないで」と怒りに体が震える想いでしたが、いま振り返るとあの2人組に感謝ですね。
クリームチーズのみそ漬けやあん肝の味噌漬け
飛田 大きな転機になったんですね。

岩井さん いまは、××の味噌漬けを××したものや、××を××で漬けたもの、××を×××した商品を開発中です(※発表前のため伏せ字にしました)。

飛田 ええっ! どんな味がするんですか……?

岩井さん 一瞬びっくりするけど、食べてみたくなるでしょう? これがまた美味しいんだなぁ。まだまだ厳しい状況は続くかもしれませんが、人が「食べてみたい」と思うものを開発していけば乗り切れるんじゃないかと思っています。

飛田 商品化される日が楽しみです!
香の蔵本店には相馬野馬追甲冑館も併設されています。公営の民俗博物館よりも充実しているといっても過言ではない展示内容!香の蔵本店には相馬野馬追甲冑館も併設されています。公営の民俗博物館よりも充実しているといっても過言ではない展示内容!
ここでは衣装を着て撮影することも可能です。大野さんにポーズを取ってもらいましたここでは衣装を着て撮影することも可能です。大野さんにポーズを取ってもらいました

近所にこんな図書館がほしい! 「南相馬市立中央図書館」でバスを待つ

2009年に設立された南相馬市立中央図書館2009年に設立された南相馬市立中央図書館
2日間ぐるりと南相馬を回って、原ノ町駅前に戻ってきました。レンタカーを返し、「南相馬市立中央図書館」を見学してバスが来るのを待ちましょう。「どうして旅先で図書館へ?」と思うかもしれませんが、実はここ、とっても素敵な図書館なんです。司書の高橋将人さんに案内してもらいました。

手にしているのは高橋さんのおすすめ本、『糸式-itoshiki-』手にしているのは高橋さんのおすすめ本、『糸式-itoshiki-』
館内には至るところに本を手に取りたくなる仕掛けが見られます。車のコーナーには市民から寄贈されたというミニカーが展示されていました館内には至るところに本を手に取りたくなる仕掛けが見られます。車のコーナーには市民からお借りしているというミニカーが展示されていました
気になった本があればすぐに読めるよう、椅子とライトがあちこちに設置されています。「読みたい」という熱を冷まさないための工夫なのだそう気になった本があればすぐに読めるよう、椅子とライトがあちこちに設置されています。「読みたい」という熱を冷まさないための工夫なのだそう
震災・原発事故関連書籍は3千冊以上! 市町村が運営する図書館の中ではトップクラスの品揃えです震災・原発事故関連書籍は3千冊以上! 市町村が運営する図書館の中ではトップクラスの品揃えです
旅のコーナーでは、自由に持ち帰ることができる全国の観光パンフレットやフリーペーパーが保管されていました。これは便利!旅のコーナーでは、自由に持ち帰ることができる全国の観光パンフレットやフリーペーパーが保管されていました。これは便利!
飲食やお喋りが可能な休憩コーナーも。まだ借りていない本も持ち込むことができるそう飲食やお喋りが可能な休憩コーナーも。まだ借りていない本も持ち込むことができるそう
なんと、絵画やポスターの貸出も! 週替わりで部屋の模様替えができてしまいますね。高橋さんによると、家庭訪問の時期に貸出が増えるのだとかなんと、絵画やポスターの貸出も! 名画のレプリカから近代デザインのポスターまであり、お店や自宅への急なおもてなしの機会に重宝されているのだとか
子どもコーナーではぬいぐるみ、おもちゃも貸し出しています。裕福ではない家庭でも芸術に触れたり、子どもの感受性を育てたりできるような配慮。公共サービスのあるべき姿だと思いました子どもコーナーではぬいぐるみ、おもちゃも貸し出しています。裕福ではない家庭でも芸術に触れたり、子どもの感受性を育てたりできるような配慮。公共サービスのあるべき姿だと思いました
大人のコーナーと子どものコーナーは廊下で隔てられているので、子どもがはしゃいでも問題ありません大人のコーナーと子どものコーナーは廊下で隔てられているので、子どもがはしゃいでも問題ありません
子どもコーナーには「お話室」もあり、絵本の読み聞かせ等をおこなっているそう子どもコーナーには「おはなしの蔵」もあり、絵本の読み聞かせ等をおこなっているそう
電気を暗くするとプラネタリウムが現れました電気を暗くするとプラネタリウムが現れました
飛田 すごく自由で充実した図書館ですね。びっくりしました。

高橋さん 飲食しちゃダメ、声を出しちゃダメ、という禁止事項をできるだけつくりたくないんです。でも、何でもアリにしてしまうと、静かに集中したい人が楽しめなくなる。そこでコーナーを区切るなどの工夫をすることにしました。

それと、都会に比べると、田舎はどうしても文化的な刺激を受ける機会が乏しくなりがちですよね。図書館のサービスを充実させることで、その格差を埋めたいんです。さまざまな本や仕掛けを用意して、広い世界に触れるきっかけをつくっていきたいと思っています。
高橋さんの言葉や展示方法から、利用者への配慮や地元への愛情が伝わってきました。「こんな図書館が近所にあったらいいなぁ」と思いませんか?

館内

大野さんと旅の振り返り

さて、そろそろ帰りのバスの時間です。最後に、大野さんと今回の旅を振り返りました。
飛田 今回お会いしたみなさんは、「ないものを嘆くんじゃなく、あるものを武器にして前に進もう」という精神を共通して持っているように感じました。みなさん物腰は柔らかくて優しいのに、スッと一本芯が通っていますよね。

大野さん 相馬野馬追という武士の文化が根付いているからかもしれませんね。「与えられた使命を全うする」とか、「地域のことを考えて動くのは当たり前のこと」といったサムライスピリットが受け継がれているように感じます。
町のあちこちに馬のモチーフを見かけ、南相馬の人が相馬野馬追を大事にしていることが伝わってきました町のあちこちに馬のモチーフを見かけ、南相馬の人が相馬野馬追を大事にしていることが伝わってきました
飛田 大野さんは移住して2年ということですが、南相馬のどういうところに魅力を感じていますか?

大野さん どこの田舎もそうかもしれないけど、人が優しいところですね。私は歴史が好きなので、相馬野馬追の話を聴くのも楽しくて。ずうっと昔の神事を頑なに守り続ける頑固さにも惹かれます。

でも、守るだけじゃなくて、新しいことに挑戦していく柔軟さも持ち併せているんですよ。高校生が野馬追の文化を若い人にも知ってもらいたいとサムライ文化を体験するイベントを作ったりと、彼らなりに伝統を次の世代につなげていこうと頑張っているんです。

飛田 面白そう!

大野さん 南相馬は新しい技術を積極的に取り入れようともしていて、ドローンを活用した配送サービスの実証実験を行っています。小高区については、「人口が一度0になり、再出発することになった」ということを強みと捉えているんですよね。オムスビの花岡さんもおっしゃっていましたが、地方で何かしたい人、起業したい人には絶好のフィールドだと思います。

除染や復旧が一段落して、これからどんどん人が増えていくフェーズなので、楽しみです。
2016年に施設が復旧した真野川漁港。大漁旗が飾られた船が係留されていました。復興の兆しを感じます2016年に施設が復旧した真野川漁港。大漁旗が飾られた船が係留されていました。復興の兆しを感じます
飛田 気候は温暖だし、サーフィンや乗馬もできるし、暮らしてみると楽しそうですね。

大野さん そうなんです。「若者が少ない」とみんな言うけど、実は出生率は県内4位なんですよ。南相馬に先入観を持っている人は多いと思いますが、一度来てもらうと考えが変わるはずです。そうやって一人一人理解者を増やしていくことが大事なのかな、と思います。
市内各地に設置された放射線モニタリングポスト。0.1μSv前後と、福島県内陸部と変わらない数値でした市内各地に設置された放射線モニタリングポスト。0.1μSv前後と、福島県内陸部と変わらない数値でした
大野さん 仙台から電車が通ったし、常磐道も開通しました。いわきからレンタカーで来てもいいと思います。ちょっと前まで陸の孤島のようだったんですが、交通手段が増えてアクセスしやすくなったので、ぜひ遊びに来てもらえると嬉しいです。
バスの中でまいたけおこわを頬張り、見聞きしたことを反芻しながら東京に戻りましたバスの中でまいたけおこわを頬張り、見聞きしたことを反芻しながら東京に戻りました

旅を終えて

これまで南三陸、大槌、石巻、いわきと旅をしてきましたが、旅の前と後とで一番印象が変わったのが南相馬でした。これは、訪れてみないとわからない魅力だと思います。

「この記事を見て南相馬に来てくれる人がいるといいな」と話していた大野さん。観光する場所に悩んだときは、「南相馬ソーラー・アグリパーク」に連絡すれば相談に乗ってくれるそうです。今回は移住者の大野さんの視点で選んでもらいましたが、南相馬歴数十年のスタッフの視点で選んでもらったら、また別の魅力も見えてくるかもしれません。ぜひ、遠慮せず問い合わせてみてくださいね。

南相馬

< 南相馬1泊2日観光モデルプラン >

1日目

7:12東京駅発 新幹線へ乗車
8:48福島駅到着、9:00福島駅西口バスターミナル発東北アクセス南相馬行きに乗車
*片道 1,300円
10:45南相馬駅前到着、レンタカーを借りる
11:00綿津見神社見学
住所:原町区萱浜手一本松120
11:30小高駅前の「双葉食堂」でラーメンランチ
住所:小高区東町1-96-1
*中華そば650円
12:30HARIOランプワークファクトリーでガラスアクセサリー作り体験
住所:小高区東町1-1
電話:0266-26-4525
*参加費3,000円
http://owb.jp/category/hario-lwf/
14:00東町エンガワ商店で「小高秀」を購入
住所:小高区東町1-23
電話:0244-32-0363
*小高秀120円
https://www.facebook.com/engawastore/
14:15Odaka Micro Stand Bardでコーヒーブレイク
住所:小高区東町1-34
電話:080-1206-7365
*コーヒー300円
https://www.facebook.com/odakao.msb/
17:00宿泊場所へ移動、 農家民宿「いちばん星」へ
住所:原町区金沢字追合116
電話:0244-26-9461
*宿泊費7,500円
http://www.ichibanboshi-minamisoma.org/noukaminsyuku/

2日目

7:00岡さんの牧場で野馬追の馬を見学
*見学希望の方は農家民宿「いちばん星」の星さんまで問い合わせてください
http://www.ichibanboshi-minamisoma.org/noukaminsyuku/
8:00宿にて朝食
10:00「南相馬ソーラー・アグリパーク」で再生可能エネルギーについて学ぶ
住所:原町区泉字前向15
電話:0244-26-5623
*案内料1,000円/ソーラーサンドイッチ1,000円
http://asubito.or.jp/facility/
11:00「かしまの一本松」見学
住所:鹿島区南右田谷地46
11:30北泉海岸で海を眺める
12:30Café' Nico Nico-do'でランチ
住所:鹿島区北海老字藤金沢110
電話:080-5573-8473
*ランチプレート1,300円
https://www.facebook.com/cafe.NicoNico.do/
14:30「セデッテかしま」でお土産を購入
住所:鹿島区浮田字椴木沢212-1
電話:0244-26-4822
http://www.sedette.jp/
15:00「香の蔵本店」で漬け物を味見
住所:鹿島区永田字28-3
電話:0244-46-2233
http://www.kounokura.com
16:00「南相馬市立中央図書館」を見学
住所:原町区旭町2-7-1
電話:0244-23-7789
http://www.city.minamisoma.lg.jp/index.cfm/23,html
17:35東北アクセス乗車、福島駅でやまびこ54号に乗り換え
21:12東京駅着

今回の旅の費用

交通費(レンタカー代含):30,000円
宿泊費:7,500円
飲食費:2,370円
体験費:3,000円
お土産代:4,000円
合計:46,870円

※2017年2月時点の情報です。訪問する際は、現住所・定休日・営業時間をご確認ください。
(Vol.6 気仙沼編はこちら)
●写真・文
 飛田恵美子(ひだ・えみこ)
飛田恵美子
フリーランスライター。「ソーシャルデザイン」「コミュニティ」「新しい働き方」といった分野で記事を書いています。牡鹿半島でOCICAというアクセサリーを製作する「一般社団法人つむぎや」と一緒に、東北の復興ものづくりを紹介するウェブマガジン「東北マニュファクチュール・ストーリー」を運営。これまでに70以上の団体を紹介してきました。
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飛田恵美子
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